ミステリマガジン4月号(2/24売)に、レイモンド・チャンドラー氏の「ロング・グッドバイ」(早川書房刊)村上春樹氏の新訳登場!

ミステリマガジン4月号(2/24売)の特集は、“愛しのレイモンド・チャンドラー”。
3月8日に単行本として刊行される村上春樹氏の新訳による「ロング・グッドバイ」の冒頭の3章が先行掲載され、単行本のあとがきの抜粋による村上氏のコメントも掲載されているという嬉しいおまけつきです。
そこでも紹介されているように、清水俊二氏によりハヤカワ・ポケットミステリの「長いお別れ」として訳されたのは1958年。村上氏もこの本で「ロング・グッドバイ」に出会い、その得意でオリジナルな優れたチャンドラー氏の文章や小説の構造のすばらしさについて気づくことができたとしています。(詳細分析は単行本のあとがき参照)原作の刊行後4年で出された清水氏の翻訳に敬意をしめしながらも、翻訳の定めとして25年での補修、50年での再訳の必要性についての考え方も明らかにしています。
確かに、言葉や表現や翻訳方法において、50年前とは異なるのが自然。ましてやチャンドラー氏自体の日本での知名度がまだまだという時代においては、まず優先されるのは作品の愉しさの伝達であったかもしれないということは想像に足ることです。パラマウント映画に入社し膨大な映画の字幕翻訳をこなし、戸田奈津子氏、細川直子氏らを後輩に持つ字幕翻訳者だった清水俊二氏の経歴からいえば、物語全体を大事にする意訳は意識的に行われていたように思われます。その方法が翻訳の手段として間違っているわけではなく、好みであり、時代性でもあったと思われます。
村上氏の言葉を借りるならば、「同時代作品としていきおいをつけて訳された清水訳と、いわば準古典としてより厳密に訳された村上訳」というのが今回の2つの訳の捉え方。
村上氏の絶賛する、チャンドラー氏の独特の闊達な文体における最高点をマークしている「Long Goodbye」を厳密に訳した現代版村上流「ロング・グッドバイ」を堪能しながらも、できればこの物語をここまで知名度のある名作とした清水流「長いお別れ」も読み、比較してみてください。きっと互いの良さが感じられるはずです。
今チャンドラー特集では他にも、巻頭のイラスト名場面集と池上冬樹氏、原寮氏らによるマイベストチャンドラーについてのエッセイ、馬場啓一氏と吉村浩二氏によるチャンドラーの新たな楽しみ方が提案され、資料編として、映像世界での紹介、名言集、年賦・著作リストがついているという楽しい展開になっています。
チャンドラーファンはもちろん、気になっていた人はぜひこの機会に、手にしてみてください!チャンドラー作品の全容がわかります。
そして3月8日には、村上春樹氏の待望の新訳「ロング・グッドバイ」(早川書房刊)の発売もお忘れなく!

(2007.02.25)