「小説すばる」2007年4月号(3/17売)は、今どきのミステリ特集!

前回の直木賞の候補作が発表になったときの驚きのひとつに、あれ?!ミステリ作品は?というのは誰もが感じたところではないでしょうか?
ミステリマガジン4月号(2/24売)で先行紹介され、3月8日に発売された村上春樹氏の新訳による「ロング・グッドバイ」(早川書房刊)も話題となりながらも、ミステリとしてよりも古典新訳としてのインパクトが強く、ミステリの面白さに気づいてもらえないのではないかと懸念される向きもありましたが・・・。
ご安心ください今号は、読む・語る・解析するの3方向ど〜んとしっかりジャパニーズミステリの大特集です。

まず、読むの新作読切短篇特集では・・・

御茶ノ水署・生活安全課の幼なじみの迷物コンビ“斉木”と“梢田”が事件に挑む、逢坂剛氏のほのぼのミステリ「おれたちの街」 や、不登校の小学生“遥香”の不思議な能力に翻弄されるフリーター“和真”達を描いた井上夢人氏の「あした絵」等お馴染みの作家の作品に加えて、短篇ながら何度かの犯人のどんでんがえしにドキッとさせられる、「小説すばる」初登場の道尾秀介氏の現代ミステリ「隠れ鬼」、伊岡瞬氏の「十二歳の冤罪」、門井慶喜氏の「架空の風景」、鏑木蓮氏の「雲へ歩む」と、異なる作風の初登場作家達の果敢なる起用の心意気は読者にも嬉しい試みです。
おまけながら、大阪を舞台に哀しい定めの“唐沢雪穂”を描いた「白夜行」(集英社刊)の東京版のように同じダークサイドを描いた“新海美冬”の物語「幻夜」(集英社刊)の文庫化記念スペシャル・グラビア特集も掲載。「幻夜」は集英社文庫として3月20日に刊行されます。

ミステリ作家が語る3つのミステリ・トークで楽しませてくれます。

  1. 名だたるミステリ賞を総なめにし留めに直木賞も受賞しながらも、本格ミステリであるか否かの論議をもたらした「容疑者Xの献身」(文藝春秋刊)の著者・東野圭吾氏と黒川博行氏の大阪人の本質を問う?対談。

  2. 人気の「新宿鮫」シリーズの大沢在昌氏と2005年に大藪春彦賞、日本冒険小説協会大賞、日本推理作家協会賞を受賞した「亡国のイージス」、吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞を受賞した「終戦のローレライ」(共に講談社刊)、そして半村良氏の「戦国自衛隊」を原案とした「戦国自衛隊1549」(共に角川書店刊)の3作品が相次いで映画化された福井晴敏氏、そしてフジテレビ映画プロデューサーの亀山千広氏という異色な3人の対談では、小説の映像化における難問、なぜベストセラーが映像化されるのかという問題も追求、“原作への思い入れの強い旧世代のヤクザなプロデューサーが交代し始めたから”なのではという言及は、鋭いところを突いているように思われます。

  3. 人情味のある作品でも知られる北村薫氏とミステリ作家として著名な法月綸太郎氏、ミステリ書評家として知られる千街晶之氏による対談では、それぞれの大学ミステリ研時代のサークル誌や個人誌から現代の作品、そして本格ミステリの今後への思いを熱く披露。
ミステリ作家の今を垣間見ることのできるトークです。
そして、ガイドブックとしては、書評家杉江松恋氏による本格ミステリの技法に沿っているのか否かと、ミステリに多い犯罪という局面で社会と共生しているものをプラス、孤立をマイナスにとったマトリクス表を使用。各作品を分類。
ジャパニーズミステリの現在の分布と未来への広がりを知ることができます。

(2007.03.26)